コーヒー&ドーナツ
文と絵:小林賢恵 自分の飲みたいもの、食べたいものがわかるって、 幸せなことだなと思う。 選べるのは、知っているから。 その飲みものや食べものの香りや温度、食感、そして味を。 それは、人生の経験値。 生きてきた時間や行動… コーヒー&ドーナツ の続きを読む
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文と絵:小林賢恵 自分の飲みたいもの、食べたいものがわかるって、 幸せなことだなと思う。 選べるのは、知っているから。 その飲みものや食べものの香りや温度、食感、そして味を。 それは、人生の経験値。 生きてきた時間や行動… コーヒー&ドーナツ の続きを読む
文と絵:小林賢恵 駅前にある小さな居酒屋。 暖簾を出した、くもりガラスの引き戸の前に立つと、 やわらかな黄色の光の中に、人の影が映る。 戸を引くと、中から酒と料理のにおいとにぎやかな声が、 ぶわっと波のようにあふれ出す。… 金曜日の夜 の続きを読む
文と絵:小林賢恵 リビングの窓は南向き。 日射しが入ってきて、フローリングの床を明るく照らし、 そしてレースのカーテンが影を作っている。 僕はキッチンカウンターのコーヒーメーカーのスイッチを入れたあと、 カーテンを引き、… 洗濯日和 の続きを読む
文と絵:小林賢恵 バス通りから1本入って最初の交差点の角に、美術館がある。 道路側を口にしたコの字の形に、石造りの建物が建つ。 中は緑の芝生で、その芝生を四つに区切るように、 コンクリートの歩道が十字に敷かれ、建物と建物… 美術館通り の続きを読む
文と絵:小林賢恵 和菓子屋の角を曲がる。 まっすぐの道が続く。 この先には海がある。 いまはまだ見えないし、 波の音も聞こえないけれど、 道の先がなんとなく明るくて、 「海がある」とわかる。 三方を山に囲まれ、 海に開け… 夏のはじまり の続きを読む
文と絵:小林賢恵 高校2年の春。 新学期の最初の日。 担任になった教師は、 出席簿順に男女交互に 前から座っていくように指示した。 俺の前には、初めて見る女子が座った。 彼女はスクールカーストなんて言葉で言えば、 ピラミ… この気持ちに名前をつけるなら の続きを読む
文と絵:小林賢恵 久しぶりに自分の部屋の前に立つ。 ただいま。 鉄のドアを開けると、 空気とにおいがこもっている。 夜だけれど、窓を全開にする。 リビングも寝室も。 都会の真ん中だけれど、風は吹く。 小さくカーテンを揺ら… うずらの卵 の続きを読む
文と絵:小林賢恵 彼女は誕生日にドクターマーチンのブーツを手に入れた。 8ホールの黒。ずっと欲しかったブーツ。 その日、彼女はチャイムが鳴ると教室を飛び出した。 クラスメイトに「バイバイ」と言いながら、早足で机と机の間を… Just a 16 の続きを読む
文と絵:小林賢恵 クッキーの缶をもらった。 「全部食べ終わったら、ちょうだい」と約束していたから。 花の形をした白いかわいい缶。 クッキーが重ねて入っていた、 ぺらぺらのプラスチックの容器を出して、 缶をひっくり返して底… 大事なもの の続きを読む