『RECORD JUNKIE ANIMALS』 夜の散歩をしないかね (RJA-002)
文と絵:山田タクヒロ
『これ、いいアルバムだな。ずっと廃盤だったなんて、
もったいないよね‥‥ねえ、聞いてる?』
「うんうん…、今夜は月がきれいね。」
『このレコードが再発されるまでに、大変な道のりがあったんだから、
ちゃんと心して聴いてよね』
「ふふ、ごめんごめん。お茶、飲む?」
『もういいよ、ごちそうさま。ところで、今度RCのライブが
久保講堂であるみたいなんだけど、行く?』
「そうね、仕事が忙しくなければ行こうかな」
『オッケー。じゃあ、チケットとっておくね』
「…あ、この歌・・」
『ん、どうしたの?』
「ちょっと、外に出て来るわね。」
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RCサクセションの3rdアルバム「シングルマン」は有名な「スローバラード」が収録されているけれど、他にも「ヒッピーに捧ぐ」や「うわの空」「甲州街道はもう秋なのさ」など名曲が満載!しかしまた、歌詞をみると内容が辛辣だったり、切なくて胸がしめつけられるような内容の曲が多いのも事実。
またこのアルバムは、発売当時は契約上のゴタゴタやプロモーション不足などいろいろな不遇が重なり、すぐに廃盤になってしまったのだけど、ある音楽評論家による「シングルマン再発売実行委員会」がきっかけとなってふたたび日の目を見るようになったという、エピソードもあります。
そんな、経歴も中身もなかなか濃い1枚ではありますが、レコードだとA面の最後となるこの曲の、静かなピアノの音が聞こえると、なんとなくほっとする、ロマンチックな小曲なのです。
月の晩にふと窓の外から聞こえる、恋人が吹く口笛のメロディ。
歌詞のなかでは窓に映る影として描かれている、彼女の目線で描いてみました。