運勢と宇宙

文:重藤貴志[Signature]

運の良し悪しについては、多くの人が気にしていると思う。

古今東西、この目に見えない謎めいた力を何とか可視化しようと、
さまざまな方法が考案され、実施されてきたのは周知のとおりだ。

僕自身は、あまり占いというものを信じていないのだけれど、
運そのものについては、漠然と存在しているような気がする。
感覚的な言い方をすれば、宇宙に近いイメージを持っている。

そもそも「宇宙」とは、遥か昔の中国人たちがつくった言葉で、
「宇」は天地四方上下、「宙」は往古来今を意味しているそうだ。
わかりやすく言い換えれば「この空間と時間のすべて」となる。

人は自分が生きてきた時間と場所のほかは認識できない。
でも、世界の広さや時間の流れを表現し、考えていくためには、
そこに何らかの名前をつけて、定義していく必要があった。

しかし、宇宙については、ほとんど何もわかっていない。
人類が月に到達した回数は、わずか6回に過ぎないのだ。

星座や血液型をはじめ、人相や手相、姓名に至るまで、
ありとあらゆるものが運を確かめる素材とされてきたが、
万人が納得できる結論は、21世紀になっても発見されていない。

人生が降りることのできないギャンブルの連続だとしたら、
いずれ訪れる最期の瞬間に、後悔というマイナス要素が少なければ、
笑顔で「ラッキーだった」と言っていいのではないだろうか。

自信を持って自分にチップを賭けることができるように。
なるべく前向きに、楽しく笑って毎日を過ごしていきたい。