パラフィンフィルム

文と写真:碇本学

うすっぺらさを突きつけられると
その薄さで向こう側が見えそうな気がしてしまう
いや 見えてしまえばいいのに
パラフィンフィルムみたいなペラペラさ
光と空気に晒されて
ゆっくりゆっくり次第に
朽ちて 朽ちていくから
そんなふうに向こう側さえ見えたら
このうすっぺらさもいいかもしれない
朽ちていく日々の
光と空気にゆっくりゆっくり撫でられて
微睡んでいる猫の夢の中で
スローモーションになって
バラバラと朽ちていく
縦横無尽に走るシワみたい
透けようとしていた
窓の向こうの光さえ
僕を朽ちさせてくれる
うすっぺらさに晒されて