そこへ至るまでの道のり

文:重藤貴志[Signature]

物事を理解するためには、段階を踏まなければならない。
特に未知との遭遇は、意志の疎通に膨大な時間が必要になる。

その時間を一気に短縮したのがインターネットだろう。
世界中からアップロードされた知識の断片を検索で見つけ、
あっという間にわかったような表情をすることができる。

しかし、Googleで検索し、Wikipediaを通読しただけでは、
残念ながら本当の“理解”に到達したとは言えない。

ボルダリングでいえば、それは最初に掴んだホールドであり、
ゴールへ進むためには、自分でルートを探さなければいけない。
難易度が高ければ高いほど、オブザベーションが重要になる。
適正なルートの一つでも、実力が足りなければ決して登れない。
ときにはウォールから離れて眺めることも効果的だろう。

点を線につなげ、線で面をつくり、美しい形に整えること。
意味を自分の中へ取り込み、磨き上げる工程には時間がかかる。
理解というゴールへ到達するまでの道のりは長く険しいが、
そこを楽しく感じられると、勉強が面白くなるかもしれない。