コーヒー&ドーナツ
文と絵:小林賢恵
自分の飲みたいもの、食べたいものがわかるって、
幸せなことだなと思う。
選べるのは、知っているから。
その飲みものや食べものの香りや温度、食感、そして味を。
それは、人生の経験値。
生きてきた時間や行動が
大げさに言えば、間違っていなかった、
活かされていることだから。
まぁ、とりあえず、
今日は寒いから熱いコーヒーを。
厚手のマグカップにたっぷり。
ミルクも砂糖もなしで。
でも、甘いドーナツを一緒に。
ドーナツはパウンドケーキっぽい
フワッ、サクッの食感で、
シナモンシュガーがいっぱいかかっている。
駅の裏通りにある、
小さな店が目に浮かぶ。
ほら、コーヒーの湯気が見えるでしょ?
ドーナツの甘さが口に広がるでしょ?
だいじょうぶ。
自分の飲みたいもの、食べものがわかるから。
まだ、だいじょうぶ。
同じようにきっと次の道がわかるはず。
イヤフォンからは好きな音楽が流れてくる。
コートのポケットにおサイフを入れて。
出かけよう。
飲みたかった、食べたかった
コーヒーとドーナツを食べに。